FOMC据え置きでも利上げ3票|米株急落、中国AI台頭、原油84ドル
政策金利は5会合連続で据え置き。ただし3人が利上げを主張し、9月の追加利上げ観測が一気に強まりました。
おはようございます。ZMです。
今日は、市場にかなり強い警戒感が出ています。
FOMCは政策金利を据え置きましたが、3人の委員が利上げを主張する異例の結果となりました。米国株は急落し、韓国株も不安定。中東では攻撃が再開し、AI市場では中国勢の低価格競争が米国企業の前提を揺らしています。
【FOMC、据え置きでも中身はタカ派】
今日の最大の材料はFOMCです。
政策金利は3.5〜3.75%で据え置かれました。これで5会合連続の据え置きです。
ただし、内容は市場が安心できるものではありませんでした。
12人の委員のうち3人が、0.25ポイントの利上げを主張。9対3に意見が割れる異例の結果となりました。
反対票を投じたのは、ダラス連銀のローガン総裁、クリーブランド連銀のハマック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁です。
3人とも、インフレ再燃への警戒から利上げが必要だと判断しています。
パウエル議長も、物価安定への強い決意を改めて強調しました。市場が期待するような、緩やかにインフレを容認する姿勢は見せていません。
その結果、9月会合での利上げ予想は57%まで上昇しました。3.75〜4.00%への利上げだけでなく、その先の4.00〜4.25%まで意識され始めています。
金利を据え置いたのに、利上げ観測が強まる。今回のFOMCは、まさにそういう結果でした。
【市場全体】
FOMC後、ドル円は163.9円台から163.4円台へ下落しました。
ただ、約50銭の円高にとどまっており、円安の大きな流れが変わったとは言えません。
米国株は厳しい反応です。
NYダウは約2%下落し、51,599ドル。ナスダックも大きく下げ、S&P500は7,343ドル付近まで下落しました。その後、時間外では少し反発しています。
3人の利上げ票が、市場の想定以上に重く受け止められた形です。
日経平均も61,433円台まで下落しています。米国株安に加え、韓国株や半導体株の混乱もアジア市場全体の重しになっています。
米国債市場では、2年債と長期債で動きが分かれました。特に30年債利回りは5.2%まで上昇しています。
長期金利の上昇は、企業の資金調達コストや株価の評価に効きます。AIや半導体のように、将来の成長期待を先に織り込んでいる企業ほど影響を受けやすくなります。
【金は急騰、原油は84ドル】
商品市場では、金が4,131ドルまで急騰しました。
据え置きを前提に積み上がっていたポジションの巻き戻しや、市場の不透明感を受けた買いが入った可能性があります。
原油は84ドルまで上昇しました。
米国とイランの攻撃の応酬が再開し、中東情勢への警戒が再び強まっています。数日間続いた攻撃停止は28日夜に終了しました。
米国とサウジアラビアは、イラクの親イラン組織も攻撃しています。米国、イラン、欧州の当局者からは、戦闘がさらに数カ月続く可能性も示されています。
原油高はインフレに直結します。
FOMCがインフレを警戒する中で、地政学リスクによって原油が上がる。これは、追加利上げ観測をさらに強める材料になり得ます。
【BTCは再び6万3,000ドル台】
ビットコインは6万3,800ドル台で推移しています。
6万7,000ドルの突破に2回失敗し、再び6万3,000ドル台まで押し戻されました。イーサリアムも1,903ドルです。
暗号資産市場にとって、高金利とドル高は基本的に逆風です。
さらに、株式市場が大きく下落すると、ビットコインもリスク資産として売られやすくなります。
一方で、6万3,000ドル台では買いも入っています。今は上昇トレンドへ戻ったと判断するより、FOMC後の金利と米国株の反応を確認する局面です。
【SKハイニックス19%安、韓国市場に連鎖】
韓国市場では、SKハイニックスの急落が大きな問題になっています。
営業利益が市場予想を下回り、株主還元方針も不透明だったことで、一時19%安まで売られました。
背景には、個人投資家によるレバレッジETFへの集中があります。
韓国では、メモリー関連株へ大きく偏った投資が続いていました。株価が下がるとロスカットが発生し、その売りがさらに株価を下げる。強制売却の連鎖が起きています。
韓国株式指数は、ここ数カ月でピークから約40%下落しています。
本日のSamsung決算で空気が変わるのか。それとも半導体株への売りがさらに広がるのか。アジア市場全体に影響する重要なポイントです。
【Microsoftは強く、Metaは売られた】
企業決算では、MicrosoftとMetaで明暗が分かれました。
Microsoftは、売上高が前年同期比18%増、純利益は31%増。クラウド基盤AzureがAI需要を背景に大きく伸び、4年ぶりの高い増収率となりました。
Microsoftの決算は、米国株の下げ止まりに貢献しています。
一方、Metaは純利益が前年同期比14%減少しました。
研究開発費の増加に加え、訴訟やリストラ関連の費用が重く、時間外で一時10%下落しています。
AI投資が売上と利益につながったMicrosoft。巨額投資と費用増が先に出たMeta。
AI需要が強いかどうかだけではなく、その投資を利益に変えられるかが、企業評価を分け始めています。
【中国AI、低価格競争が加速】
AI市場では、中国勢の存在感がさらに高まっています。
中国のAIスタートアップInShot AIは、目標を上回る35億ドルを調達し、企業価値は350億ドル、約5兆円まで上昇しました。近く香港市場への上場も予定されています。
DeepSeekを含む中国AIは、米国勢より低いコストで高性能モデルを提供しようとしています。
利用者にとって価格低下はプラスです。しかし、OpenAI、Anthropic、Metaなど、巨額のデータセンター投資を続けている企業には大きな圧力になります。
サービス単価が下がれば、莫大な先行投資の回収に時間がかかります。
AI需要がなくなるわけではありません。問題は、AI企業がその需要から十分な利益を残せるかです。
今回のMeta決算も含め、AI市場は「投資額の大きさ」ではなく、「利益へ変換する力」を問う段階に入っています。
【今日のポイント】
今日の市場には、ポジティブ材料がほとんどありません。
FOMCは据え置きでしたが、3人が利上げを主張。9月の利上げ確率は57%まで上昇しました。
米国株と韓国株は不安定で、イラン情勢の再悪化によって原油も上昇しています。
AIでは、Microsoftのように投資を利益へ変える企業がある一方、Metaのように費用負担が先に出る企業もあります。さらに、中国勢の低価格AIが米国企業の収益構造を揺らしています。
今日見るべきポイントは3つです。
9月の利上げ観測が、さらに強まるか。
Samsung決算で、韓国半導体株の連鎖的な売りが止まるか。
Apple、Amazon決算で、AI投資を利益へ変えられているかが確認できるか。
ニュースは単体で見ないことが大事です。
原油高はインフレに、インフレはFOMCに、FOMCは金利と株に、金利は暗号資産に、中国AIの価格競争は米国企業の利益率に効いてきます。
今日も、数字の上下だけでなく、その裏にある構造を見ていきましょう。



